Copyright c npo-wahaha.net

メニュー

ページのトップに戻る

お問い合わせ

寄付で応援

讃岐おもちゃ美術館

理事長ブログ

おもちゃ学芸員さんへの手紙

3月5日開催された学芸員養成講座にて学芸員の皆さまにしたためたお手紙をこちらで…
======================
大切な讃岐おもちゃ美術館学芸員の皆さま

いよいよ来月、皆さんと共に讃岐おもちゃ美術館の開館を迎えることとなりました。
 1998年より子育て支援一筋に活動してきた私たちNPO法人わははネットとしても大きな大きなチャレンジの始まりです。
『すべての子どもたちが生まれてきてよかった。』と思える社会を作りたい。私たちはこの想いで、これまで20年以上香川にこだわり、この地で親子としっかり向き合い、活動の幅を少しずつ広げてきました。
しかしまだ私たちの目指す社会には手が届いていません。

 今から約4年半前の2017年秋、丸亀町商店街振興組合の古川理事長から、当法人が商店街近くで運営している子育てひろばを商店街に面した新たにできるビルでやらないかというご提案をいただきました。せっかくなら小さな子育てひろばであっても木質化した素敵な場所にしたいと思い、旧知の東京おもちゃ美術館 多田館長と、古川理事長をお引き合わせしたのが2017年12月。古川理事長が「そんな構想ならもっと広い場所でやろう!いい場所ができるよ」と進言いただいたのが現在讃岐おもちゃ美術館ができる駐車場1階1,100平米のスペースのことでした。
なんと当初計画していた20倍以上の広さ。予想外の展開であまりに広い場所にたじろぎ、本当にできるのか?と大いに悩みました。しかも東京おもちゃ美術館や姉妹美術館にあるカフェやショップなどの運営ノウハウもありません。
 2018年春、IKUNASを展開する㈱taoの久保さんに相談したところ、驚くことに即答で「やりましょう!」と館内の半分のスペースでカフェ・ショップの運営に名乗りを上げていただき、プロジェクトが現実味を帯び本格的にスタートしました。

 2018年8月最後の週末。暑い中丸亀町一番街ドームの下で開催した「木育キャラバン」。
どれくらいの人たちが来てくれるのか…と不安でしたが大勢の親子が来場し、また通りがかった学生さんや年配の方々、観光で滞在している外国人等様々な人たちが子どもたちを真ん中に、遊び、笑い、おもちゃを通して素晴らしい交流が生まれる景色が広がりました。
 「讃岐おもちゃ美術館を絶対に形にしよう!」と私が覚悟を決めた瞬間です。

 しかし、不安がなかったわけではありません。
東京おもちゃ美術館からノウハウを伝授いただくとしても、このような壮大なプロジェクトを今のスタッフだけでは運営できるはずがありません。
そこで最初の木育キャラバン以降、毎年丸亀町商店街さんの全面協力のもと、年に数回木育キャラバンを開催。同時に今の学芸員さんにつながるサポーター養成を行ってきました。
 キャラバンの度に親子との素敵な出会いもありますが、学芸員さんとの心温まる出会いも多くありました。何よりおもちゃを目の前にしたときに学芸員さんが一番に喜び遊んでくれるのです。そして子どもたちと同じ目線で心から楽しそうに積極的に関わってくださります。

 現在の子育て家庭は9割以上が核家族です。またご近所づきあいも少なくなり世代を超えた交流や電池のないおもちゃで工夫して遊ぶという経験をする機会が減っています。
子どもたちの小さな「できた!」を手を叩いて喜び、時に本気で子どもたちと勝負し、「また遊ぼうね!」と子どもたちに手を振る学芸員さんの姿に、「このおもちゃ学芸員さんたちとなら運営できる!」と何度力をもらったことでしょう。
 おもちゃ学芸員さんの存在は本当に大きく皆さんの姿が私の原動力にもなっています。

 そしてこのプロジェクトを通して、おもちゃ学芸員さんはじめ、本当にたくさんの人たちが子どもたちの未来を思い、より幸せになってほしいと心から願い、機会があれば何か力になりたいと思ってくださっていることも知りました。

 東京おもちゃ美術館多田館長はじめ担当の吉原さん、そして東京おもちゃ美術館もデザインされたまちづくりプロデューサー砂田さん。この方々の全面サポート無しにはこの計画はありません。
 地元出身の私が知らない香川の素晴らしい歴史や文化、自然。そして伝統工芸の数々。あちこちを一緒に訪問する度、五感を大きく揺さぶられる経験をし、「子どもたちに見せたい!伝えたい!」と想いを強くしました。
 讃岐おもちゃ美術館の館内のおもちゃや什器、一つ一つに大げさかもしれないけれど壮大なストーリーがあります。
 これからそのおもちゃの持つストーリーを学芸員の皆さんとシェアし、さらに子どもたちが遊ぶことでその物語を広げていきたいと思っています。
もう一つ。このプロジェクトには多くの方々からのご寄付が集まりました。
昨年実施したクラウドファンディングでは900人近い方々が一口館長としてご支援いただき、また県内の多くの企業様が「子どもたちのためなら」とご支援いただきました。
これほど多くの方に見守られる香川の子どもたち。ぜったいに幸せになってほしい、と願わずにいられません。

 こうして地域の方々に見守られ、そしてここで学芸員の皆さんとともに遊び、笑い、一緒に過ごした時間が、5年、10年、20年後に子どもたちの心のお守りとなり「あの時一緒に遊んだ学芸員さん」をふとした時に思い出し、その経験が小さな自信につながり一歩前に進むきっかになればと願っています。

新型コロナウィルスが猛威を振るう中での準備は悩みや苦労ばかりでした。そして未だ終息が見えません。彼の地では戦火に逃げ惑う子どもがいます。
しかし嘆くばかりではなくこんな時だからこそ、想いを一つに。皆さんと子どもたちに明るい未来を描ける場として讃岐おもちゃ美術館というステージで思う存分笑顔の花を咲かせるお手伝いをしていただきたいと思います。
いよいよスタートです。皆様のお力を信じ一つになって世界に一つのおもちゃ美術館を作りましょう!
よろしくお願いします。
                                     2022年3月5日
                          讃岐おもちゃ美術館 館長 中橋恵美子