讃岐おもちゃ美術館準備室

讃岐おもちゃ美術館への挑戦

子育てに優しい社会の実現のため、讃岐おもちゃ美術館の挑戦
「子どもがいるからあれもできない、これもあきらめないといけない、なんて社会はおかしい!」


「産んでよかった!」すべての母親が心からそう思い、そんな自分が好きになれる。
「生まれて良かった!」すべての子ども達がそう思い、そんな自分を肯定できる。
そんな社会を目指し、NPO法人わははネットは20年に亘り香川で子育て支援に向き合い続けています。子育て情報誌の発行、子育て広場の運営等、様々な事業に取り組み、代表の中橋は2018年に「女性活躍推進功績」で全国2人目となる藍綬褒章を受章しました。

今回、上記のモットーやグランクレドの実現のためのわははネットの新しい挑戦が、「讃岐おもちゃ美術館」です。2022年4月に高松の丸亀町商店街にオープンを予定しています。

おもちゃ美術館は、ただおもちゃを展示し鑑賞する美術館ではありません。「あそぶ・つくる・であう」をコンセプトに、「親子で遊ぶ」「文化を伝える」「世代をつなぐ」体験型の施設です。


「地元・香川の魅力が子どもたちに十分伝わっていない」、子育て支援に取り組む中、そんなもどかしさを感じる場面に、わははネットは何度も出くわしてきました。讃岐おもちゃ美術館が、子どもの香川への誇りを育む場になると、中橋は確信しています。

今回、美術館のオープンに併せ、いっしょに働く仲間を新しく募集することになりました。新しい仲間を募るにあたり、中橋と副理事長の小出の想いを聞きました。



――わははネットの設立とこれまでの取り組み 「子育て中の母親の目の前の困りごとを解消し続けた」
代表理事の中橋は、香川県坂出市で生まれ育ち、短大卒業後に建設会社で勤めます。結婚し、夫の都合で茨城県に転居し、慣れない土地で長女と次女を出産しました。夫は海外に行くことも多く、地縁もない土地で孤独を感じながら、いわゆるワンオペ育児に四苦八苦したと言います。専業主婦として3年過ごし、香川にUターンしました。

中橋:地元に帰ると、子どもがいる母親として必要な情報やつながりが全くないことに気づいたんです。子育て中の母親は、情報がないことで行動範囲がとても狭くなります。家庭と病院と学校と小売店だけの行き来になってしまったり。

そこで、1998年に子育てサークル「わはは(輪母)ネット」を立ち上げました。併せて、私と同じように情報を求める方のために、自費で子育ての情報誌づくり挑戦したんです。書店に持って行くと、「子育ての情報誌なんて読む人がいないし売れないよ」と言われ、門前払いになることがほとんどでした。しかし、発行した3,000部は完売し、5,000部に増刷になりました。今も発行を続ける「おやこDEわはは」の創刊号ですね。多くの問い合わせもいただき、情報を知りたいという母親の強いニーズを改めて感じました。広告等の協賛も集まり、今は年6回発行のフリーペーパーになっています。

また、「居場所や拠り所がない」「親子の関わりを大事にしたい」という母親の声を受けて、乳幼児と保護者が集い、情報交換や交流を図る、子育て広場を立ち上げました。運営は、子育て中の母親がボランティアで担ってくれました。全国的に事例がない取り組みで、国の方々が視察に訪れ、何と国の子育て支援事業として認められ、広場の運営に予算がつくことになりました。子育て支援は、国としても歴史が浅く、制度の変遷も多く、自分たちの取り組みが運よく先端事例として取り上げてもらえました。

他にも、タクシー事業者と連携して子育てタクシーを立ち上げたり、いろいろなことに取り組みました。当初から大きなビジョンがあったと言うよりは、自分の困りごと、子育て中の母親の目の前の困りごとを解消し続けた感じですね。


おもちゃ美術館の打ち合わせをする中橋と小出

――わははネットに参画した小出の想い 「ここにいないとできない経験がたくさんある」
わははネットの副理事長の小出は、愛媛県の生まれ。松山と高松で暮らし、岡山の大学を卒業した後、愛媛で教員として働き始めます。結婚を機に香川に移住し、夫の転勤に伴い岡山で過ごし出産を経験した後、香川で暮らし始めます。

小出:4歳と10ヶ月の子どもが2人いて、中橋と同じく、子育て中の母親として求める情報やつながりが高松に全然ない状態でした。ママ友づくりを積極的にしたいと思っていた中で、高松に子育て広場がオープンすると知り、足を運んだんです。そこが、子どもが楽しみながら自分の役割も果たせる場所で。ちょうど「自分の人生を楽しむ」ことを大切にしたいと思っていたタイミングで、居場所を見つけた感覚でした。

ボランティアで子育て広場の運営に携わる中、わははネットの事業も徐々に広がっていました。下の子が3歳になるタイミングで、中橋から声をかけられ、14:00までの時短勤務で、わははネットの社員として働き始めました。

私は母親としての自分も好きで、だからこそ母親を支援することそのものにやりがいを感じています。また、中橋がゼロからイチを立ち上げることが得意な一方、私は立ち上げたものを形にしていくことが得意なので、そこで役に立てる喜びがあります。ここにいないとできない経験がたくさんあるんです。営業なんてわははネットにいないと経験しなかったでしょうし、文章を書くことは教員時代とのつながりを感じますし、本当に様々な経験をさせてもらっていて楽しいです。




――讃岐おもちゃ美術館が目指すもの 「香川の『すごい』を伝える場、香川に誇りを感じられる場に」
讃岐おもちゃ美術館をどんな場所にしたいのか、中橋にビジョンを聞きました。

中橋:一言で言うと、香川の「すごい」を伝える場にしたいです。香川の伝統工芸と木材がコラボしたおもちゃで遊ぶことを通じ、香川の魅力を感じられる場。そして、香川の究極の魅力は「人」だと思います。おもちゃ学芸員の大人たちや伝統工芸の職人さん、香川のすごい人やすごい物に囲まれ、体験を通じ、子どもの香川への誇りを育める場にしたいです。

本当に多くの可能性を秘めた場所になると思うんです。おもちゃ学芸員が子どもの存在を認め尊重し、子どもにも大人にも発見や学びのある場になると思います。子どもが「また来たい」と思い、何度も足を運べば、「ここで育った」という記憶が残る場にもなります。おもちゃ学芸員の記憶にも子どもたちの成長が残っていくはずです。
さらに、後継者不在に悩む伝統工芸が、未来につながる場にもなると思います。おもちゃを通じて工芸をより多くの方々に知ってもらう場になり、それが新しい販路や商品企画、事業等にもつながる可能性を持っています。
そして、施設運営を黒字化することで、携わる人たちの給与を上げ、子育て世代に直接還元もしたいです。
おもちゃ美術館を通じて、より多くの人に出会い、子育てに関心を持ってもらえれば、解決できる子育ての課題が増えることにもつながります。




――新しい仲間の募集 「わははネットが大切にする想い、クレドはずっと変わらない」
讃岐おもちゃ美術館を共につくるため、子どもの未来を明るく照らす社会のため、今回新しい仲間を募ります。大きく3つの役割を募集します。
ひとつ目は、ボランティアのおもちゃ学芸員。週1~2日程、おもちゃ美術館に訪れた子どもとの交流を通じ、遊びや文化や学びを共有する役割です。おもちゃ学芸員の養成講座(リンクを添付)を受講すれば、どなたでも関わることができます。
ふたつ目は、パート職。週2~3日程、有給でおもちゃ美術館の運営に携わります。来館者と直接触れ合うのはもちろん、おもちゃ学芸員の方をマネジメントしたり、より深く運営に携わる役割です。
三つ目は、ディレクター職。週4~5日程、正社員としておもちゃ美術館の運営の中核を担います。パート職も含めた全体の運営統括、人事や経理等の管理業務、広報や新規事業企画まで、経営の目線も持ち、多岐に亘る役割を担います。
中橋は、「わははネットのクレドに共感してくれる方」が参画してくれることが最も心強いと語ります。


中橋:讃岐おもちゃ美術館は、わははネットにとって大きな挑戦です。既存のメンバーだけではパワーが足りないのは確実で、新しい仲間の力を借りて、事業を形にし、子育てしやすい社会の実現につなげていきたいです。

わははネットが掲げるクレドは、これからも変わりません。このクレドに共感できる人は、共感値高く働けると思います。
クレド以外で言うと、前向きな人が良いと思いますね。子育ても大変な局面が多くありますが、そこで希望を見つけて成長できる・一歩踏み出せるパワーがあることが、わははネットのカラーかなと思うので。新しいことへの挑戦にポジティブな方、新しいことを思いつかなくても積極的に関われる方が良いですね。

10年前まで、子育て支援は福祉の一環で、仕事になることなどありませんでした。わははネットは前例をつくり、風穴を空ける役割を担ってきました。事例をつくれば、行政も動きやすくなり、大きな流れを生むことにつながります。まだまだ社会で支援を必要としている人はたくさんいます。これからも、民間だからこそできる、受益者負担でも公的支援でもできない支援を増やしていきたいです。

自分たちの活動によって、次の世代がビジョンを語れるようになれば理想ですね。ソーシャルビジネスとしてできることやスタイルを増やしたいですし、民間でしがらみがないからこそ、どんどん次の未来に向けたチャレンジを続けたいと思っています。


リスクもある中、中橋が挑戦することを決めたのは、讃岐おもちゃ美術館によって生まれる新しい出会いや化学反応、子どもたちに育まれる学びや経験や地元への誇り、そして何より子育てがしやすい未来の実現ためです。大きな挑戦だからこそ、今までのわははネットの殻を破ったアクションや、新しいメンバーの力が必要です。

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